IVF-ET 採卵日の看護マニュアル                  2010.08.01

1. 患者来院 受付~待合室
待合室の患者に、受付で前金を支払ったことを確認した後、患者の氏名を確認して精液を受け取り、培養士へ渡す。当日採精の場合は、夫を採精室へ案内する。(原則的は自宅採精) 患者を外来診察室へ誘導する。
2. 手術室
培養士による精液所見確認後、直接介助の看護師は滅菌手袋を装着して、間接介助とともに採卵に必要な物品を展開する(別紙参照)。
ただし、ディスポ製品以外は早めに展開しておく。洗い用の培養液は、できる限り採卵直前にシリンジに準備する(培養液のpHが変わるため)。
3. 外来診察室
医師による説明の後、排尿を済ませて内診室でエコーと腟洗浄を行う(この時、培養室で保温しておいた生理食塩液500 mLを使用する)。
洗浄後、患者を回復室へ案内する。
4. 回復室
採卵時間を伝え、病衣に着替えてもらい、待機するよう患者へ説明する。ラクテックG 500 mL、20 Gベニューラ針でルートキープする。
排尿確認後、患者の氏名を確認して手術室へ誘導する(精液所見が非常に悪いときはこの時点で採卵を中止することがある)。
5. 手術室
外陰部洗浄のための不潔吸水シーツを敷いておく。膝窩保護のためのクッション(タオルなど)と抑制帯も準備しておく。
[麻酔]
患者に手術台に寝てもらい、砕石位をとり、膿盆を置く。ECGモニターとSpO2センサーを装着する。医師に麻酔法を確認して、麻酔担当者は採卵5~10分前に硫酸アトロピン1/2 Aを緩徐に静注する。
麻酔薬(ペンタジンとプロポフォール)をシリンジに準備する。
例:硫アト1/2A iv ペンタジンー15mg 1A iv  プロポフォール 7-8 ml iv
  O2 2 N2O 4 プロポフォ-ル追加

直接介助の看護師は、間接介助とともに10 mLシリンジ3~5本に洗い用培養液や生食を準備する。
準備が完了したら、間接介助の看護師は医師と培養士に連絡する。
医師が滅菌ガウンと滅菌手袋を着用し外陰部と腟内を洗浄するため、間接介助が介助する。
    オスバン綿球で外陰部を洗浄後、乾綿球で拭き取る。
    清潔覆布を両下肢と下腹部に掛ける。腟内を滅菌生食綿球で数回洗浄する。
医師がエコーのプローブにカバーとガイドを取り付けるので、直接介助と間接介助はこれを介助する。カバー内には生食を少量入れる。
間接介助は穿刺まではエコーの傍で待機する。穿刺が始まったら直接介助とラボ間をシリンジ運搬のために往復する。
[麻酔]
腟洗浄後、医師の指示で麻酔担当は患者へ
①ペンタジン1 Aを静注、続いて
②プロポフォール7~8 mLを10~20秒かけて静注する。患者が眠ったら
③マスクでN2O 4 L : O2 2 Lをスタートする。
④プロポフォ-ル1ml/3min, sPO2 93%以下/ 呼吸低下時更に1分待つ
(以前20ml/hr)
セルシンとケタラールの場合もある。投与量と随時追加量は医師の指示を仰ぐ。頻回に患者のバイタルサインをチェック、記載する。
経腟超音波ガイド下に穿刺、採卵を行う際、直接介助は医師の合図で卵胞液をシリンジで吸引、培養液または生食でフラッシュ、を繰り返す。
直接介助は手元の吸引採取した卵胞液がある程度増えたら、間接介助へそのシリンジを手渡す。

間接介助は直ちにラボの培養士へそのシリンジを渡す。このとき、左右どちらの卵巣の卵胞液かを培養士へ伝え、同時に、その時点で何個卵が採取されているかを培養士に訊ね、手術室の医師へその数を伝える。
採卵が終了したら、医師が腟内を精査、消毒して3連ガーゼを挿入するので介助する。
麻酔担当は採卵が終了したら直ちにセファメジン1 g+生食100 mLの点滴を開始する。
患者を手術台の上でしばらく経過観察し、意識がほぼ清明になるまで頻回のバイタルチェックを行い、ストレッチャーまたは車いすで回復室へ運ぶ。
6. 回復室
回復室に帰室直後、30分後、1時間後に血圧・脈拍を測定する。
採卵後1時間程度はECG・SpO2モニタリングを行う。
採卵から1時間40後に点滴を抜針後、プロゲストンデポー 1 Aを筋注する。その後患者を内診室に誘導し、ガーゼ抜去と超音波検査を行います。
安静中、尿意を訴えた場合は早めに診察してガーゼを抜去してもよい。

7. 外来診察室~問診室 患者帰宅
内診後、医師が患者へ採卵後の説明を行う。
最後に、別室で看護師がバイタルチェックと採卵当日の注意事項説明を行い終了する。


IVF-ET 採卵日の必要物品

1. 手術室
 清潔台上に
  清潔台用の滅菌シーツ1枚、クスコ氏腟鏡M、セッシ2本、生食用薬杯(大)1個
  綿球10個、滅菌防水シーツ1枚、覆布3枚、3連ガーゼ、ガーゼ数枚、19 G穿刺針
  延長チューブ、三方活栓、10 mLシリンジ8~10本(採卵数による)
  22 Gカテラン針、プローブカバー、穿刺用ガイド、輪ゴム×2、術者ガウン1、手袋2

 未滅菌吸水シーツ 1枚
 腟洗浄用大塚生理食塩液500 mLプラボトル1本
 オスバン入薬杯
 膿盆2
 洗い用HTF 50 mL(採卵直前までCO2インキュベータ内にいれておく)
 ストレッチャー

 麻酔に
  生食100 mL+セファメジン1 g、硫酸アトロピン1 A
  ペンタジン2 A、1 %プロポフォール20 mL(セルシン1 A、静注用ケタラール1 V)
  ECGモニター、SpO2センサー
  救急カート(挿管チューブ、喉頭鏡、アンビュバッグ、注射筒、18 G針、ボスミン、
  エフェドリン、ソル・コーテフ、ペルジピンなど)

2. 回復室
 採卵前
  点滴台、輸液用チューブ、三方活栓、延長チューブ、20 Gベニューラ針
  ラクテックG 500 mL
 採卵後
  ECGモニター、SpO2センサー×2、血圧計
  プロゲストンデポー 1 A

3. 外来内診室
 大塚生理食塩液500 mLプラボトル1本